RSI戦略は実際に機能するのか:実測で検証した

執筆 chwoo · 仮想通貨トレード7年。2026年春から自動売買ボットを運用。 · · 更新

RSI(相対力指数)は、ほぼすべての仮想通貨トレーダーが最初に学ぶ指標であり、最も損をしやすい指標でもあります。 RSIが悪いからではなく、教科書的な使い方が素朴だからです。このガイドでは、その素朴さが実際にいくら失わせるのかを 測った数字とともに、RSI戦略を誠実にバックテストする方法を示します。

RSIが実際に測っているもの

RSIは、指定した期間(既定は14)における直近の上昇幅と下落幅の大きさを比べる0〜100のオシレーターです。数値が 高ければ価格が力強く着実に上昇したことを意味し、低ければ下落したことを意味します。よくある解釈 (「70以上は買われすぎで売り、30以下は売られすぎで買い」)が、多くのトレーダーが間違えるところです。

古典的な70/30ルールが仮想通貨で失敗する理由

強いトレンドでは、RSIが数週間70より上に留まったまま価格が上がり続けます。強気相場で「買われすぎ」ごとに ショートするのは、あっという間に踏まれる近道です。仮想通貨はトレンドが強いため、素朴な平均回帰RSIはしばしば 出血します。解決策はRSIを捨てることではなく、いつ それを信頼するかを具体的に決めることです。

よく言われるのは、RSIの回帰(売られすぎで買い)はレンジで機能し、RSIのモメンタム(強さを買い)はトレンドで 機能するということです。同じ指標、正反対のルール。もっともらしく聞こえます。実際に走らせるとどうなるかを、 以下で確かめます。

回帰型とモメンタム型を正面からぶつけた

このサイトのエンジンで、両方のルールを同一条件で走らせました。ひとつは RSI(14)が30を上抜けたらロング(回帰型)、もうひとつは 50を上抜けたらロング(モメンタム型)です。BTCの1時間足、利確3% / 損切り2%、片道の手数料 0.06%とスリッページ0.02%を反映、レバレッジ1倍、建玉比率90%、2026年8月31日までのバイナンスのローソク足。

戦略ROIMDD取引数勝率
RSI 30上抜け(回帰)-79.8%85.2%69638.2%
RSI 50上抜け(モメンタム)-82.6%86.3%1,37140.5%
同じ指標、正反対のルール。どちらも資本の80%近くを失います。

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注目すべきはどちらが勝ったかではありません。モメンタム型は勝率が高いのに、より多く失っています。 38.2%に対して40.5%で勝ちながら、さらに負けているのは、取引回数がほぼ2倍(1,371回対696回)だからです。勝率は コストを数えません。これが勝率を単独で読んではいけない最短の実例です。

1銘柄の問題ではない

同じ2つのルールを、時間足その他の条件をすべて同じにして6銘柄に走らせました。

銘柄回帰型 ROIモメンタム型 ROI
BTC-79.8%-82.6%
ETH-85.6%-87.1%
SOL-93.4%-95.1%
XRP-96.3%-99.5%
DOGE-82.4%-99.7%
ADA-96.6%-99.2%
12通りのうち利益が出たものはありません。XRPとADAのモメンタム型は口座がほぼ消滅します。

「回帰かモメンタムか」という議論は、どちらも負ける状況ではあまり意味がありません。この表が言っているのは、 RSIひとつをエントリー条件に使う構造そのものが自らのコストを超えられないということです。

直近の窓だけを見ると騙される

このガイドで最も重要な表です。同じ2つの戦略を期間別に分けました。

期間回帰型 ROIモメンタム型 ROI
7年-80.6%-83.3%
5年-69.2%-62.5%
3年-50.9%-7.9%
2年-53.0%-16.8%
1年-37.5%-23.8%
6か月-10.0%-7.3%
3か月12.5%-9.6%
1か月3.2%-1.9%
窓を狭めると損失が縮み、3か月と1か月では回帰型がプラスに反転します。

直近3か月だけを切り出すと、回帰型は +12.5% です。そのマスだけを見て「RSI 30の回帰は機能する」 と結論づけることが、バックテストが書いた本人を欺く最もよくある形です。同じ戦略の7年窓は-80.6%です。

窓が短いほど良く見えるのは、優位性が現れたからではなく算数の理由が大きいです。窓に入る取引が少ないので コストが積み上がる時間がなく、複利で削られる区間も短くなります。したがって期間表は「最近は良いか」を問う 道具ではなく、符号が一貫しているか を問う道具です。回帰型は8区間のうち2つでしかプラスでは ありません。

決済はエントリーより結果を大きく変える

多くの初心者が実際に思い描く形は少し違います。30を上抜けたら買い、買われすぎになったら売る。このツールでは 決済を「逆シグナル」にすればその形になり、「RSIが30を上抜け」の逆は RSIが70を下抜け です。エントリーはそのままにして、決済だけを変えました。

決済方法ROIMDD取引数勝率
利確3% / 損切り2%-79.8%85.2%69638.2%
RSI 70下抜け-24.1%64.6%24664.2%
エントリーはまったく同じ。決済だけで損失が-79.8%から-24.1%へ、勝率が38.2%から64.2%へ変わります。

同じエントリーで3倍以上の差です。固定2%の損切りは、この戦略が賭けている反発が始まる前にポジションを切って しまいます。逆シグナル決済はその反発に時間を与える代わりに、より深いドローダウンを引き受けます。エントリーを磨く前に決済を2〜3種類試すほうが、ほぼ常に労力に見合います。

はっきり書いておくと、-24.1%はまだ損失です。大きな改善は優位性と同じではありません。

RSIをフィルターに使えば良くなるのか

RSIはトリガーではなくフィルターとしても使えます。エントリーは別のもので行い、RSIが特定の帯にあるときだけ 許可する方法です。EMA 20/50のゴールデンクロスに「RSI 40〜70」の条件を重ねました。

構成ROIMDD取引数勝率
EMA 20/50 ゴールデンクロスのみ-42.5%59.0%49940.9%
+ RSI 40〜70 フィルター-47.9%60.8%42840.0%
フィルターを加えると悪化しました。取引を71件減らして、損失は増えています。

フィルターは自動的に役立つものではありません。ここではRSIの帯が、負ける取引と一緒に勝つ取引も取り除いて います。フィルターは 物語ではなく数字で 正当化しなければならず、この表がその反例です。

時間足は結果を変え、サンプルも変える

時間足ROIMDD取引数
15分-91.7%95.1%1,615
1時間-79.8%85.2%696
4時間-43.3%52.4%223
日足-13.1%18.4%28
時間足が長いほど損失は小さくなりますが、日足の行は28取引に乗っています。

損失が-91.7%から-13.1%まで縮むのは、主に取引頻度の問題です。取引が少なければコストの侵食も小さくなります。 だからといって日足が答えだとは言えません。28取引は統計ではなく物語です。 数件違えば符号が変わります。時間足を延ばして損失を減らすことと、サンプルを燃やして何も結論できなくすることの 境目は非常に薄いです。

では、どう検証するか

  • エントリーより先に決済を揺らす。 上の表では決済ひとつが-79.8%を-24.1%に変えました。同じ労力でエントリーを調整しても、その規模の変化は 生まれません。
  • 期間表で符号を数える。 合計より、いくつの区間でプラスかが情報です。直近3か月だけ良い戦略は良い戦略ではありません。
  • 取引数を必ず一緒に読む。 30件未満では勝率と損益比は推定値としても使えません。
  • フィルターは前提にせず試す。 RSIの帯フィルターはこのシステムを悪化させました。
  • RSI期間を数ポイント動かす。 14は機能するのに12と16が崩れるなら、優位性ではなく尖点です。
RSIはつまみが多く(期間、しきい値、上抜けか絶対水準か、さらにフィルターと決済)過剰最適化が特に容易です。 上の表のどのマスも「こうすれば儲かる」という意味ではありません。近い値と複数の期間で符号を保つ設定を選び、 よければ今すぐ同じ条件を自分で走らせて確かめてください。ツールは無料で、7年分の実際のバイナンスデータを 使います。

参考資料

読むのも良いですが、試すのが一番。バイナンス7年分のデータで本物のバックテストを無料で。

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