最大ドローダウン:どの戦略も時間の93%以上を高値の下で過ごした
執筆 chwoo · 仮想通貨トレード7年。2026年春から自動売買ボットを運用。 · · 更新
最大ドローダウンは、バックテスト期間中に口座価値が高値から安値まで落ちた最大の幅です。ふつうはリターンの 隣に百分率ひとつで印字されますが、その戦略を実際に持ち続けられたかを決める数字です。リターンはどこに 着いたかを教え、ドローダウンは何に耐えなければならなかったかを教えます。
百分率ひとつは、人を折る部分を隠します。それは期間です。そこで両方を測りました。このサイトのプリセット 8種の資産曲線を足ごとにたどり、最悪の穴がどれだけ深かったかだけでなく、どれだけ長く続いたか、そして 全期間のうちどれだけを過去の高値より下で過ごしたかを問いました。
水面下にいるのが通常の状態
BTC、各プリセットの既定の時間足、現実的なコスト、レバレッジ1倍、2026年8月31日までのデータです。 「最長の下落区間」とは、ある高値からその高値を取り戻すまでの最も長い区間で、まだ取り戻していない場合は 最後の足までを数えています。
| 戦略 | リターン | 最大DD | 最長の下落区間 | 高値より下の足 | 現在の高値比 |
|---|---|---|---|---|---|
| ゴールデンクロス | +190.7% | 16.0% | 440日 | 97.6% | -3.6% |
| スーパートレンド・モメンタム | +221.3% | 42.6% | 433日 | 99.0% | -32.0% |
| トレンドフィルター付きRSI | -0.2% | 19.5% | 2,065日 | 93.4% | -8.7% |
| ドンチャン・ブレイクアウト | -41.5% | 79.2% | 2,073日 | 99.7% | -56.4% |
| RSI 30で入り70で出る | -59.1% | 82.4% | 2,022日 | 99.4% | -80.8% |
| RSI 売られすぎの反発 | -83.2% | 88.5% | 2,652日 | 97.6% | -86.1% |
| ボリンジャー平均回帰 | -98.1% | 98.8% | 2,671日 | 99.1% | -98.7% |
| MACDクロス | -98.6% | 99.1% | 2,778日 | 99.8% | -98.8% |
「高値より下の足」の列を見てください。この列はほとんど変わりません。 ここにあるすべての戦略が、+190.7%を出したものも含めて、全体の足の93.4%から99.8%を過去の高値より下で 過ごしています。 自分の記録より下に座っていることは、バックテストにおける例外ではなく、戦略を持ち続ける経験のほぼ全部です。 資産の最高到達点は住む場所ではなく、たまに訪れる場所です。
次に、このサイトで最も強いプリセットです。スーパートレンド・モメンタムは+221.3%を出し、最長の下落区間は 433日 でした。データの最後の足の時点では 高値より32.0%下にあり、290日目の下落の途中です。 これが良い側の例です。この戦略を悪いタイミングで始めた人は1年近く損失を見続けている最中で、7年の数字は +221.3%だと言っています。
ドローダウン90%は10%の9倍ではない
ドローダウンは線形ではありません。回復は減った残高を基準に測るからです。50%の下落を戻すには50%ではなく 100%の上昇が必要です。
| ドローダウン | 回復に必要な上昇 |
|---|---|
| 10% | +11.1% |
| 20% | +25.0% |
| 30% | +42.9% |
| 50% | +100.0% |
| 70% | +233.3% |
| 80% | +400.0% |
| 90% | +900.0% |
| 95% | +1,900.0% |
| 98% | +4,900.0% |
これを最初の表と合わせて読んでください。MACD戦略のドローダウン99.1%を元の高値へ戻すには、およそ 100倍の上昇 が必要です。その戦略が2,778日にわたって高値より下にある理由であり、二度と 戻らない理由です。対してゴールデンクロスの16.0%に必要なのは約19%、平凡に良い四半期ひとつ分です。
ドローダウンを、リターンと引き換えにできる統計ではなく、越えられない制約として扱うべき実際的な理由です。 50%を超えたどこかで、戦略は戦略であることをやめ、願望になります。
短いバックテストはドローダウンを小さく報告する
同じ測定を窓の長さを変えて行いました。各列はその後方の窓のなかでの最悪のドローダウンです。
| 戦略 | 1年 | 2年 | 3年 | 5年 | 7年 | 全期間 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ゴールデンクロス | 10.6% | 13.6% | 13.6% | 13.6% | 13.6% | 16.0% |
| スーパートレンド・モメンタム | 42.6% | 42.6% | 42.6% | 42.6% | 42.6% | 42.6% |
| トレンドフィルター付きRSI | 7.7% | 11.7% | 13.5% | 13.6% | 19.5% | 19.5% |
| ドンチャン・ブレイクアウト | 41.6% | 41.6% | 41.6% | 41.6% | 79.2% | 79.2% |
| RSI 30で入り70で出る | 41.1% | 43.9% | 51.1% | 64.6% | 82.4% | 82.4% |
| RSI 売られすぎの反発 | 50.3% | 60.3% | 67.2% | 79.9% | 87.4% | 88.5% |
| ボリンジャー平均回帰 | 58.9% | 69.1% | 75.7% | 92.9% | 98.8% | 98.8% |
| MACDクロス | 43.6% | 57.7% | 76.2% | 91.2% | 98.3% | 99.1% |
MACDの行が最も明快です。1年の検証はドローダウン43.6%を報告し、全期間は 99.1% を報告します。測定がどこまで遡ったかだけが違います。 ドローダウンの数値は天井ではなく床であり、検証が短いほどその床は低く置かれます。
パターンを崩す行が2つあり、隠さず名指しするべきです。スーパートレンド・モメンタムはどの窓でも42.6%、 ドンチャン・ブレイクアウトは4つの窓で41.6%です。最も深い下落が1年の窓にも入るほど最近であるときに こうなります。安心すべきことではありません。それらの戦略がいま最悪のドローダウンの中か、その近くにいる という意味で、スーパートレンドが高値より32.0%下だという最初の表の最終列がそれを裏づけます。
同じルール、別の通貨、別のドローダウン
スーパートレンド・モメンタムをルールそのままで5つの通貨で走らせました。
| 通貨 | 取引数 | リターン | 最大DD | 最長の下落区間 | 現在の高値比 |
|---|---|---|---|---|---|
| BTC | 376 | +221.3% | 42.6% | 433日 | -32.0% |
| ETH | 380 | +428.3% | 69.4% | 1,850日 | -63.6% |
| SOL | 304 | +268.4% | 74.7% | 553日 | -61.4% |
| DOGE | 290 | +317.7% | 90.1% | 2,047日 | -42.9% |
| XRP | 352 | -32.6% | 89.1% | 2,044日 | -84.0% |
戦略のドローダウンは、戦略だけの性質ではありません。BTCでは42.6%ですが、リターンがより良い+317.7%の DOGEでは 90.1% です。BTCの数字で建玉を決めて同じルールをDOGEで走らせたなら、2倍 間違ったリスクに合わせてサイズを決めたことになります。
ここで最も稼いだのはETHの+428.3%ですが、最長の下落区間は 1,850日 でした。高いリターンと長い苦痛は反対語ではありません。たいてい一緒に来ます。
レバレッジは深さと期間をまとめて買う
同じ戦略をBTCでレバレッジだけ上げました。
| レバレッジ | リターン | 最大DD | 最長の下落区間 | 高値より下の足 |
|---|---|---|---|---|
| 1倍 | +221.3% | 42.6% | 433日 | 99.0% |
| 2倍 | +111.6% | 68.2% | 1,047日 | 99.2% |
| 3倍 | -58.5% | 93.6% | 2,629日 | 99.4% |
| 5倍 | -99.9% | 100.0% | 2,629日 | 99.4% |
リターンの列が3倍で負に転じることは、建玉とレバレッジのガイドで扱いました。ここで見るべきは3列目です。 1倍から2倍にすると433日の下落区間が1,047日になり、3倍では2,629日、確保した期間のほとんどになります。レバレッジは穴を深くするだけでなく、あなたが待てる どの期間のうちにも這い出せなくします。
ドローダウンの数字の使い方
- 床として読むこと。 上の8つのうち6つは窓が長くなるほど悪化しました。全期間で検証し、それでも未来はもっと深いものを見つけると 仮定してください。
- どれだけ深いかだけでなく、どれだけ長いかを問うこと。 ここで最も稼いだプリセットも一度に433日水面下にいて、いままた290日目です。
- リターンではなくドローダウンからサイズを決めること。 史上最悪の下落に倍率を掛けても持ち続けられる水準にレバレッジを合わせてください。
- 売買する市場ごとに測り直すこと。 同じルールがBTCで42.6%、DOGEで90.1%でした。
- 50%を超えたら失格として扱うこと。 回復の表が理由を説明します。倍にする必要があり、90%を超えると奇跡が必要です。
参考資料
- Drawdown (economics)
- William F. Sharpe, "The Sharpe Ratio" — Return per unit of risk, the number drawdown should be read next to.